オパリンガラス
乳白色の柔らかな色の石。
このホワイトの石は「オパリンガラス」呼ばれるミルク色のガラスです。
ほんのりとした透け感が美しいオパリンガラスは、アンティークでも花瓶や香水瓶などに用いられることの多い素材です。
代表的なところで言えば、バカラ(Bacarrat)社も特に初期の頃にオパリンガラスを用いた香水瓶の傑作を生みだしています。
ガラスと言えど宝飾品にふさわしい耐久性があり、とても良い状態です。
ガラスの外周がぐるりとメタルで囲われているのも、安心感があります。
白いオパリンガラスと白い天然パール
真ん中には一粒の天然パール、オパリンガラスの外周を40粒ほどの天然パールが囲んでいます。
特に真ん中のパールは艶があり、ちょっと扁平で見るからに天然と分かる美しい真珠です。
オパリンガラスはほんのり半透明で、真珠はオフホワイト。
「2つのホワイト」の質感の違いがお互いの美しさを引き立てています。
大きなオバール(楕円形)のブローチです。
白を背景にしたジュエリーは少なく、清楚ながら存在感のあるブローチです。
地金はゴールド色ですがメタルのようです(少し金を含んだ合金の可能性もあります)。
オパリンガラスはアンティークオブジェではお馴染みの素材ですが、ジュエリーでは珍しいです。
オパリンガラスのミルキーで柔らかい色がノスタルジックな作品。
19世紀後期の推定フランス製。
動画も撮影しています。
オパリンガラスと天然パールのアンティークブローチ
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ガラスは最も古い「宝石」のひとつです。
古くは紀元前3000年前のメソポタミアとコーカサスの遺跡から発見されています。
いわゆる貴石の代役としての役割も、少なくとも紀元前1500年前のエジプト文明の頃には既に確立されていました。
中世、カラーガラスは主に宗教的な目的に用いられました。
例えば聖骨箱や聖書に飾られました。
非宗教的な用途としては、例外的に子供のジュエリー、そして葬儀用のジュエリーにも使われました。
ペーストのジュエリーは17世紀に発展します。
ペーストガラスのジュエリーは、当初はダイヤモンドの代良品として生まれます。
17世紀、イギリスもフランスも宮廷ではダイヤモンドのパリュール(セットジュエリーのこと)が流行しますが、セットするだけのダイヤモンドを持ち合わせない者には大量に生産されていたペーストガラスがその代用となったのです。
下記は当店で販売済みのペーストガラスのピアス。
19世紀半ばの作品です。
ペーストガラスは、鉛ガラスに鉛の酸化物を加えて作られました。
ペーストガラスは上手にカットされると、この頃に浸透しはじめるろうそくの明かりの下でまるで本物のダイヤモンドのような輝きを放ったのです。
このアンティークの鉛ガラスはその国や地域によって色々な言い方がされました。
英語ではペースト(ガラス)と呼ぶことが多いですが、フランスでも色々な言い方をされて「ピエールドリン(pierres du rhin)」と呼ばれたりします。
またフランスでは特に鉛ガラスはノルマンディー地方で独特の発達を見せます。
この地域で作られた「「鉛分の多いガラス水晶」は地域の名前を取って「アランソンのダイヤモンド」と呼ばれることがあります。
下記は1827年のルーアン(ノルマンディーの中心都市)で作られたペンダントです。
下記は19世紀のノルマンディーの十字架です。
両方とも白い鉛ガラス「アランソンのダイヤモンド」が銀の台座に包み込まれるようにセットされています。
こうした良質な無色の鉛ガラスを美しく箔打ちしセットしたジュエリーは、時の貴族の間で一世風靡します。
18世紀以降、この鉛石をより小さなダイヤモンドのようなカットする技術が生み出されます。
フランスの宝飾職人のストラス(strass)は、鉛ガラスを改良し、ダイヤモンドに色をつける金属箔の彩色を考案します。
こうして生まれたペーストの改良品を職人の名前を取って「ストラス(strass)」と呼ばれるようになります。
以降、ノルマンディーのパリュール(セットジュエリーのこと)は尚一層のこと、パリの貴婦人たちの間で流行します。
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